魚屋さんとして大切にしていること【Voi.2】


産地装と各店の対応

〜誠実さとは何か?〜

 節分の日には、魚屋業界では巻き寿司がたくさん売れます。一緒にイワシやアサリもたくさん売れる時期なのですが、今年の節分はアサリの産地偽装が大きなニュースになりました。報道によると「農水省の調査で2020年の熊本県産のアサリの漁獲量21トンに対し、2021年10~12月の熊本県産として全国で販売されたアサリは2485トンであったことから、産地偽装の疑いが高い」とのことでした。
 これら一連の報道は、アサリ需要期の節分の数日前から始まり、魚屋業界はアサリの取り扱い方法について選択が迫られるものとなりました。法律的には貝類の産地表示のルールは、生育期間が長い地域(国)を表示することになっています。(下図参照)
 また、商品の仕入れの際には、伝票が付けられるのですが、この伝票に「産地A」と記載されていたならば、その通りに表示しなけばならないルールもあります。ベテランの目利きが「99%産地はBだな」と思ったとしても、お客様に対しては「産地A」と表示しなければルール違反となり、産地表示を変えた人が「産地偽装をした人」とみなされてしまうのです。
 話を戻しまして、今回は農水省や熊本県が「出荷流通済みのアサリは産地偽装の可能性が高い」と発表しました。さぁ困りました。僕たち魚屋はもう節分販売用のアサリは既に仕入れ済みです。しかも、このアサリが「偽装品である可能性が高い」と知ってしまった…。ただ伝票には「熊本県産」と表示されているので、熊本県産と表示して販売しても法律上は問題はありません。
 結果、残念なことに大半のお店がそのまま「熊本県産」と表示して販売を継続していました。水産業界に身をおくものとして、寂しく思う対応だと感じたものでした。フードロスを懸念して販売したお店もあると思います。はたまた最需要期の売上を優先したお店もあるかもしれません。
しかし、いずれにしてもお客様の思う期待にお応えできない部分がある以上、西浅は「全面販売中止」を選択しました。
法律上は販売してもまったく問題がない。だからといって、限りなく偽装品である可能性の高い商品をお客様に販売するという選択は、創業より95年間、お客様との信頼関係を最も大切にしてきた自負があるからこそ、売ってしまおうという思いは生まれませんでした。
 私はこの騒動に、他店がどのように対応しているか見て回りました。全てのお店を見たわけではありませんが、多くの店がこのアサリを「熊本県産」として販売する中で、販売中止にしたのは当社と、もう1組合のみでした。その組合は、かかげる理念「頼もしき隣人たらん」を真に体現しておられ、まさにその姿勢を貫かれたことに感動と深い共感を憶えます。
 私たちも魚食文化を支えることに誇りを持ち、常にお客様の方を見て、お客様に寄り添い、正しく誠実に進むことこそが、街の魚屋のあるべき姿のように思えてなりません。
人と魚の未来を考えています
西浅 代表取締役児玉 周
2022年4月1日
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